読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

口内炎の治し方と考え方

口内炎は口腔内に起きる炎症であり、炎症に対する処置をすると治ります。考え方としては体表の擦過傷や細菌・ウィルス由来の内臓の炎症とほぼ同じです。

さて、炎症に対する処置を行うのは医療機関ではなく(※1)、生物の体内におおむね備わっている免疫機構です。免疫機構に頑張ってもらう方法は以下の通りです。

  1. じゅうぶんな休養をとる
  2. 免疫が喜びそうな栄養分を与える
  3. 炎症部位を刺激や雑菌から保護する
  4. 雑菌の繁殖しにくい環境を保つ

※1:重症の場合はこの限りではありませんので、医療機関を受診したほうがいいでしょう。重症かどうかは日常生活がどの程度困難になるかを目安にするといいかもしれません。痛みのあまりなにも食べられないようであれば重症でしょうし、食べにくい状態が長期間続くのも重症であると思います。

では、免疫を助けて口内炎を早めに治す方法を列挙します。

1. じゅうぶんな休養をとる

歯磨きして寝ます。ひたすら寝ます。胃腸も休ませるとより効果的なので、絶食は大いにありです。あるいは、極端に消化にいいもの(おかゆ、どろどろに煮込んだうどん、やわらかく蒸した野菜・少量の肉など)だけを、寝ている最中におなかがすいて目が覚めない程度に食べてもいいと思います。

2. 免疫が喜びそうな栄養分を与える

バランスのよい食事を腹八分、と心がけるだけで十分ですが、バランスのよい食事が嫌いな場合も、ジャンクフードを避けてビタミン多めを意識して食べ過ぎなければそれでいいと思います。ただし、胃腸が弱っていると栄養をとっても吸収できないので、乳酸菌あたりで消化器官を応援しておくのもわりとおすすめです。

3. 炎症部位を刺激や雑菌から保護する

現代日本で働きながら暮らしていると、1や2は気休め程度にしかできないと思いますから、ここからが本題です。

炎症が起こっている細胞は刺激するとより強い反応を起こして炎症がひどくなるので、口内炎ができている部分を舌や歯や食物による刺激から徹底的に保護します。これは、擦り傷を絆創膏で覆い、外気を含む外部刺激から保護するのと同じ感じです。

具体的にどうするかというと、口内炎治療薬のなかでも口内炎パッチ(貼り薬)を使います。私が使ったことのある市販薬を挙げておきます。

これ以外にもあったと思いますし、矯正歯科なんかだと炎症部位ではなく歯や歯科矯正装置のほうを保護する蝋のようなものを処方してくれる場合もあります。とにかく炎症部位の保護目的なら、塗り薬より貼る薬がおすすめです。塗り薬はどうしても舐め取ってしまったりするので、貼り薬のほうが絆創膏の役割を長く果たしてくれるような気がします。あ、飲み薬は一度試しましたがほぼ効果なかったです。

なお、市販薬には抗炎症成分がそれぞれ含まれますが、個人的な体感として、薬効が炎症を治癒するより炎症を刺激せず温存して免疫に任せるほうが早く治りますので、薬効は気休めくらいに思っておくと気が楽です。ステロイドに過敏な場合は薬の選び方にご注意下さい。

4. 雑菌の繁殖しにくい環境を保つ

塗り薬でも貼り薬でも、薬剤の周辺部分に食べかすなどが付着すると雑菌が繁殖して最悪口内炎が増えることもあるので、口腔内を清潔にしてから使うほうが効果的です。擦り傷も傷口を洗ってから絆創膏を貼ります。同じです。

口腔内を清潔にするのは、歯磨き+うがいが有効です。ただ、歯磨きは口内炎に当たらないように気をつけてします。磨ききれなくても、ぶくぶくうがいを一生懸命にするとそこそこ効果はあります。

うがいをするときにイソジンなどのうがい薬を使うかどうかは、免疫の弱り具合によります。たとえば風邪やインフルエンザを同時に発症していて免疫が大変そうだったら、イソジンなどの消毒薬では免疫に関わる常在菌まで殺しすぎてしまうので、あまり良くはなさそうです。あと、喉とか知らないうちに傷がついているような器官にも消毒薬はきつすぎると言われるようですから、ガラガラうがいでなくぶくぶくうがいが鉄則です。免疫がまあまあ普通の状態っぽく、口内炎もよほどの重症でなければ、イソジンでぶくぶく殺菌が分かりやすくていいと思います。

(擦り傷の場合でもマキロンなどの消毒薬は炎症を刺激するうえに常在菌も殺すのでよくない、という説は経験上正しいと思っていますが、口腔内は雑菌が繁殖しやすく、とくに睡眠中に唾液が減る場合はそれが顕著なので、口腔内に限り寝る前にちょっと過剰に殺菌しておくのも悪くないと思っています)

イソジンが強すぎて染みるようであれば、緑茶でもいいです。むしろ緑茶のほうが体にいいかもしれません。緑茶もなければ水でも大丈夫です。とにかく雑菌の繁殖する環境を作らないことを心がけます。

3と4はセットで、寝る前によく雑菌を除去し、炎症を保護するように貼り薬をつけておくと、より効果が高いと思います。水や緑茶うがいは日中(とくに食後)に何回かやるといいです。

0. 炎症が起こる仕組み

オマケです。炎症の根本原因は細菌とかウィルスとかいろいろありますが、口内炎の発生機序は今もよく分かっていないようです。しかしながら、「疲れているとき」「胃腸が弱っているとき」にかかりやすい、という民間の説が物語る通り、体内の免疫機構が弱っていると、たとえちょっとした傷口でもそこから入った雑菌に免疫機構が敗北します。するとたちまち、炎症が拡大していきます。

風邪やインフルエンザやその他ウィルス性疾患なども仕組みは似ていて、免疫機構が万全ならば、感染しても発症しないことがあるそうです。菌たちの領土争いと考えるとシンプルかもしれません。菌の種類によっては、その領土が我々人類にとって痛みや不快感の発生源となり、ひどくなれば生命維持が困難になっていくということです。

まとめ

口内炎になったら、食事の量は控えめにしてビタミンを多めにとり、毎食後にうがいをし、寝る前には念入りに歯磨きとうがいをし、炎症部位を保護する薬を使い、寝られるだけ寝る、と、わりと早く治ります。 
逆に、栄養をとろうとして食べ過ぎて胃腸がもたれて睡眠時間が減って食事のあとも食べかすを放置していたら、どんな高価な薬を塗っても早くは治りません。 
個人的な体験では、「うがい」を心がけると、それまで最低一週間は苦しんでいた痛みから2日ほどで解放されるようになりました。

なお、こういった話は会社で新入社員向けのネットワーク基礎講座的なものを担当したときに人体の基礎として伝授しようと思った内容なのですが、諸般の事情で講師をクビになりましたので一般向けに公開します。当時ストレスから発生した口内炎も、うがいで治しました。

参考文献

好きになる免疫学 (KS好きになるシリーズ)

好きになる免疫学 (KS好きになるシリーズ)